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今週の1位を見る #2『テラスハウス クロージング・ドア』

年明けからずっと続いていた『ベイマックス』の1位を止める映画は一体なにになるのだろうかと楽しみにしていたら、まさかの『テラスハウス クロージング・ドア』。


ランキング上位の他の作品はどれも300以上の映画館で公開されているのに対し、『テラスハウス』はそのほぼ半分の160館で1位を取る程の人気ぶりなので、まさかのという表現は失礼かもしれない。
さらに失礼なことに、テレビ放送はほとんど見ておらず事前の知識がほぼない状態、というよりも「どうせ『あいのり』みたいなやつだろ」という先入観しかない状態で見に行ってしまったんですが、それを土下座して詫びたいと思います。

自己の近況や趣味趣向をその見え方を意識しつつラッピングしながら公にアップデートしなければならないという大SNS時代で生きていく中で生じる様々な困難さとある種の心地よさがテラスハウスというコンテンツには凝縮されているわけで、テラスハウスが「リアル」として受容されているとしたらそれはメンバーのinstagramのようなライフスタイルに対してではなく、お互いの言動を相互に緩やかに監視しされ続ける中で自己の振る舞いや表象をコントロールしなければならないという状況に対してなのではないでしょうか。
テラスハウスの出演者の多くは、自己や所属する団体のPRのために出演を決めているわけなので、その目的の達成のためにはできるだけ多くの時間オンエア映像に映るか、あるいは視聴者の印象に残ったり好まれたりする必要がある。つまりは常に自分の立ち位置と状況を把握し、もっともテレビ映えするような言動を選択し続けなければいけないわけで。そんな状況下では「自分はこうしたいと思った」と「この状況ではこうすべきだと思った」の切り分けは非常に困難になるでしょう。
映画『ゴーン・ガール』で描かれていたように、SNSやらメディア上での自己の表象をコントロール出来ない人間は即刻社会的に死ぬ、あるいは存在しないのと同等に取り扱われてしまうご時世なわけですから、そのような混乱は決してテラスハウスメンバーに限ったことではなく多くの人に共通するものであり、このような社会の中での人々の振る舞いをとらえた記録映像として『テラスハウス』は興味深いしめちゃくちゃおもしろいなと思いました。