家族の映画三部作(多分)完結 M・ナイト・シャマラン『トラップ』
家族の映画(多分)三部作
M・ナイト・シャマランは『ミスター・ガラス』の公開時に「キャリアの一章が閉じたようだ」と語っていた。*1
奇しくもそれは自身が50歳を迎え、長女のSalekaが歌手として、次女のイシャナが映像作家としてそれぞれのキャリアを歩みだし、さらには自身の父親の病など、シャマラン自身の人生にも大きな変化が訪れたタイミングでもあった。
そこでシャマランは、それまでもたびたび取り上げてきた「自己の人生や家族」というテーマを新たな視点から掘り下げる作品を撮り始めたのではないだろうか。より具体的にいうと、『オールド』『ノック 終末の訪問者』『トラップ』は「家庭人としてのシャマラン」と「映画人としてのシャマラン」の相克というテーマに貫かれている。そして『トラップ』はそのテーマを扱った三部作の完結編のように思える。
『オールド』では、家庭人としての姿がガエル・ガルシア・ベルナル演じるガイに、映画人としての姿がシャマラン自身が演じる撮影者に振り分けられており、家族とともにあることと映画人であることは相容れないものとして描かれていた。また、『ノック 終末の訪問者』では、家族を守る存在と家族に危機をもたらす存在が対立していたが、映画という明るいヴィジョンを信じ世界を守ることと、家族を想うことは同時に達成できることであると描かれていた*2。
『トラップ』がおそらく三部作の完結編であろうと考えた理由は、クーパーのキャラクターが3作の主人公の中で最もシャマランのパブリックイメージに近い*3こと、Salekaが準主役として大々的にフィーチャーされていること、イシャナが『ザ・ウォッチャーズ』で長編監督デビューを果たしたこと、映画のオープニングが『オールド』と似通っていることなど様々だが、一番大きい理由は『トラップ』で出された回答が最も明瞭でシャマランらしいからということに尽きる。
では『トラップ』におけるシャマランの回答とはなにか。シャマラン本人の言葉を借りるのであれば
I hope that they understand that I am trying to espouse the value system, like burn the house down for an idea that let's go live in that one bedroom apartment over the garage and rent it, you know, for the right idea. And that's just that's what I believe*4
つまりは「自分には家族を危険にさらしたとしてもやらなければならないことがある。そして家庭よりも自分の使命やビジョンを優先することを家族にも理解してほしい」ということである。
一見、無邪気ともピュアともいえるような態度ではあるのが、実際この通りのことをして(今のところは)うまく行っているのがとても恐ろしいと思う。
クーパー/ブッチャー ふたつの顔
予告編からも明らかにされているように、『トラップ』の主人公であるクーパー(ジョシュ・ハートネット)は、娘・ライリー(アリエル・ドノヒュー)のために人気歌手のコンサートチケットを用意する優しい父親でありながら、その一方でバラバラ殺人を繰り返すシリアルキラーの「ブッチャー」でもある。三部作であるという前提で解釈するのであれば、この二面性には、シャマラン自身の家庭人としての一面と映画人としての一面がそれぞれ反映されていると考えられる。
まず、家庭人としてのクーパーは、12歳の娘を肩車したり、友人関係を気にかけたり、おそらくはライリーが作ったであろう友情ブレスレットをつけたり、その振る舞いは子煩悩そのものだ。*5
しかし家族を喜ばせたいという気持ちや行動とは裏腹に、それに付随する「耐えがたさ」がクーパーを苛む。それは例えば、娘の好きな歌手の曲が自分の好みでないことや、その歌手のファンの叫び声のうるささ、「この話に共感できるならスマホのライトを照らして」というコンサートお決まり展開*6のバカバカしさ*7、娘の友人の母親の無神経さなどだ。クーパーが時折見せる苛立ちを含んだ表情には、自己の美学とそぐわないものに付き合わなければいけないことへの葛藤が垣間見える。
これまでのシャマラン作品でも家族とは「拠り所であると同時に同時に不安や怖れを生み出すもの」であることが多かったが、『トラップ』ではそのような家族(あるいは家庭と言ったほうが適切かもしれない)へのアンビバレントな想いが一層凝縮されている。
そんな家庭生活にまつわる耐えがたさを癒やすのは、本人が述べるところである「使命」の対象(=被害者)の姿を見つめることである。多くの人にとって日常からの逃避や救いの場であるコンサート会場にはカオスが溢れている。主人公はそのカオスから逃れ、自分がコントロール権をもつ空間に安寧を求めようとする*8。
ブッチャーがコントロール権を持っているのは、拠点として確保している複数の空き家である。そして、クーパーにとっての「家庭」という空間もまた、(完全ではないにせよ)ある程度コントロール可能な場所である*9。彼にとっては、この両方の空間が必要不可欠であり、2つの顔を持つことは、彼が生きるための手段なのだ。だからこそ主人公は、ブッチャーとしてコンサート会場をかき回しながら、自宅に戻るための出口を探し続けたのではないだろうか。
作品の終盤、家族にもその正体が露見したクーパー/ブッチャーは、最後のひと仕事を終えたら自ら命を断つということを繰り返し宣言する。それは、2つの人生のいずれかが欠けてしまった自分には生きる意味はないと思っているかのようであり、ゆえに、その両立を壊した妻に対して「純粋な怒り」を覚えたのであろう。
クーパーが家庭人としての顔とシリアルキラー「ブッチャー」としての顔を使い分けながらも、その両方を必要とする姿は、「家庭よりも自分の使命やビジョンを優先することを家族にも理解してほしい」と語ったシャマラン自身の言葉と重なる。もちろん、クーパーとシャマランの「使命」は並列で語れるものではなく、だからこそクーパーは家族と離れるという結末を迎えてしまったのだろう。しかしながら、この映画のラストで自らの手枷を外したクーパーの高笑いが恐ろしいものではなくどこか喜ばしいもののように聞こえるのは、そこにシャマランが持つ使命への強い意思を重ねて見てしまうからなのかもしれない。
家族を危険にさらしても
また、『トラップ』でのシャマランの回答は、物語のレベルだけではなくキャスティングを含めたメタレベルでも達成されていると言える。
本作の観客の多くが、娘であるSalekaを準主役として起用したことに対して「ゴリ押し」や「親バカ」という感想を抱くであろうことは想像に難くない。個人的にも、これだけnepo babyが批判されている中でよくやるなというのがこの作品の概要を最初に聞いたときの素直な感想である。
しかしながら、架空のポップスターの楽曲として10曲以上を書き下ろし、それをパフォーマンスする人間を用意する必要があるという本作の要件を考えると、SalekaとはすでにApple TV+オリジナルのドラマ『サーヴァント ターナー家の子守』での共同作業の経験がある上に、曲作りもパフォーマンスもできるのだから理にかなった選択である*10し、その部分に異を唱える唱える人は少ないだろう(そもそもこの企画が娘を売り込むためなのではないかと思う人を除けば)。
ただし、中盤以降のSalekaの役回りに関しては、これまでのシャマラン映画であればブライス・ダラス・ハワードやアニャ・テイラー=ジョイが演じてきたような役であり、それを俳優としての訓練を積んでいないSalekaにやらせるのはいささか荷が重かったのではと思う人も多いのではないだろうか。
しかし、Salekaをただの歌手役ではなくファイナルガールとしてキャスティング*11しているのは、本作のコンセプトに従った結果でもある。その説明のためには、「自己資本での制作」と「娘の起用」という近年のシャマラン作品の作られ方を振り返る必要がある。
『ヴィジット』以来、シャマランはその創作の独立性を確保するために自己資金で映画を製作するというやり方を取ってきた。近年の作品に関してはわからないが、少なくとも『ミスター・ガラス』までは自宅を抵当に入れて制作費を捻出していたようである*12。最悪自宅を失うリスクと隣合わせの決断であり、キャリアの絶頂期にいるとは言えなかった映画監督が取る行動としては狂気の沙汰というほかない。*13
これに対してシャマランは「危険なので真似しないほうが良い(だがしかし自分はこのやり方を続けることにある種の使命感を持っている)」ということをユーモアを交えながら繰り返し語っている。
次に娘の起用について。
Salekaとイシャナの2人がシャマラン作品に参加し始めたのは『サーヴァント』のS2(2021)からである。 『サーヴァント』にSalekaは楽曲提供、イシャナはエピソード監督や脚本、のちにはプロデューサーとして参加している。同じく2021年に劇場公開された『オールド』でも、Salekaは同じく楽曲提供、イシャナはセカンドユニット監督として参加していた。
娘を積極的に起用するのはその能力と今まで積み重ねてきた過程を信じているから*14だとシャマランは語っているが、下手したらキャリアを潰しかねないリスクがある。
つまり、自己資本で制作費を捻出し、娘たちを積極的に起用する近年の制作体制は、常に家族を大きなリスクにさらしてきたものだということだ。
ここで作中の描写を振り返ると、レディ・レイブンの身に危険が及ぶきっかけとなる決定を下したのは、カメオ出演しているシャマラン自身である。
客席から選ばれた一人が「夢見る少女」としてステージに上がりレディ・レイブンと共演したりバックステージに行くことができるというコンサートの恒例イベントを知ったクーパーは、シャマラン演じるスタッフ(レディ・レイブンの叔父*15でもある)に嘘を交えながら娘のライリーを猛烈にアピールする。それに騙されライリーを夢見る少女に選んでしまったことが、ブッチャーとレディ・レイブンが直接相対する後半の展開につながっていく*16。
つまり、Salekaをファイナルガールとして起用することで、「父シャマランの決定によって娘や家族に困難が降りかかることがあるかもしれないが、自らの力でその状況を打破する(してほしい)」という構図が二重に作り上げられているのである。
いちシャマラニストとしての個人的な感想(まとめ)
正直、作中におけるクーパーの振る舞いは狡猾な殺人者とは言い難いくらい場当たり的で、運の良さで針穴に糸を通しているようなもの*17だし、そのクーパーを追うFBIにいたっては輪にかけて凡ミスばかりで、フーバーも土の中で泣いていると思う。それでもこの映画が、本国Maxの配信でランキング上位を維持しつづける*18ほど人の心を掴んでいるのは、実際のスタジアムで撮影されたコンサートシーンの音響の素晴らしさや、複数のレイヤー構造を活かした画作り、多様な閉鎖空間を捉えたサヨムプー・ムックディプロームの撮影、そしてクーパーというキャラの魅力を十二分に引き出したジョシュ・ハートネットの芝居*19など、映像的な魅力に依る部分が大きいのではないかと思う。そのような見応えのある映像で観客の作品への興味を持続させながら、ウルトラCといえるメタ的な要素で映画のコンセプトを成立させたこのやり方は、個人的には『サイン』を思い出した。
シャマランの次回作がまだ明らかになっていない以上、本当に三部作なのかどうかは推測でしかないが、「映画」と「家族」というテーマに対して、シャマランがこのような形で回答を出してくれたことを個人的にはとても嬉しく思っている。
*1:https://x.com/MNightShyamalan/status/1083826060054200321
*2:ここらへんの解釈の詳細 https://kaminotagui.hateblo.jp/entry/2023/04/15/125924
*3:にこやかで親しみやすい態度で人の懐にスッと入り無茶を実現させていく感じとか、家族思いなふるまいの一方でびっくりするようなこと(後述)をする感じとか
*4:https://youtu.be/Id5feta6PKc?si=_nSbB1qnUHv_Ks-f
*5:友情ブレスレッドをつけているのが左腕で、ブッチャーの証拠となりうるタトゥーは右手首に刻まれている。作中ではジョシュ・ハートネットの顔の右半分のショットが繰り返し映される
*6:作中で示唆されているクーパーと母親との関係を思うと、親子の確執やそれによる怒りを「ライトを照らして」に回収されるのは耐え難いものがあったでしょう
*7:歌手として活動している自分の娘をポップスター役として起用しておいてこういう要素を積み重ねるの、信頼関係がないとできないことでもあると思う
*8:ここらへんのコントロールへの欲求、作中ではOCDと説明されてましたけどそういうものなんでしょうか……
*9:映画後半の主人公とレディ・レイブンの直接対決はクーパー家で行われるので、一見ホームであるクーパーのほうが有利かと思われる。(クーパーも「I’m in control」って言ってたしね)しかしながら主人公と大人気ポップスターであるレディ・レイブンのどちらが空間掌握能力に長けているかと言ったらその答えは明らかであり、二人の勝敗を分けたのは「DIVA力」であるといえるのかもしれない
*10:実際、Salekaの作る曲はかっこいいし歌もうまいと思う
*11:ちなみに役名に含まれるRavenはシャマラン家にとって重要な意味があるらしく、担保にしていたことでおなじみの自宅の名前はRavenwoodだし、自身の制作会社のトレードマークにも(多分)使われている
*12:https://www.independent.ie/entertainment/movies/it-might-seem-crazy-m-night-shyamalan-reveals-why-he-re-mortgaged-his-own-house-to-fund-glass/37703153.html
*13:『スプリット』で主演予定だったホアキン・フェニックスが撮影2週間前に降板して、もし代わりが見つからずに制作中止とかなっていたらどうなってたんでしょうね……
*14:実際『サーヴァント』でイシャナが監督を担当した回にはおもしろいものが多く、特に「ピザ」は傑作
*15:叔父とは何かを説明するここのセリフすごかったですね
*16:娘を愛し楽しませようと頑張るクーパーと、娘を利用して活路を見出そうとするブッチャー、そして娘を危険にさらすシャマラン。3つの父親のあり方が一つの画面の中に集ってから、クーパーとブッチャーとしてのありようを分けることができなくなってしまった主人公の姿とそれを追うプロファイラーの顔が、スプリットディオプターによって一つの画面に収まるまでのシークエンスは最高でしたね
*17:上手く行ったのは運が良いだけでしょというのも、シャマランが自分のキャリアに関して「ラッキーだったから」と頻繁に言っているのにも通じるのかもしれない
*18:https://screenrant.com/trap-2024-movie-m-night-shyamalan-success-streaming-chart/
*19:ちなみにシャツを脱いだのは本人の提案らしいよ! Josh Hartnett Chose to Be Shirtless in Trap's Climactic Scene (Exclusive)
2023年の読み切りWEBマンガ
主旨とか
- 2023年に公開された読み切りマンガでおもしろかったもの、印象に残ったものをまとめます
- webで読めるもののみです
- 自分のための記録用の趣が強いので、順不同だしコメント書いたり書かなかったり
- サンデーうぇぶり、コミックdays、ジャンプ+に偏ってます
- 思い出したら後で足したりするかも
- 主旨とか
- リスト
- コーポ仲吉の管理人(富士太郎)
- 窓の向こうに。(米麹ぽっぽ)
- さよならプロロ(佐々木カイキ)
- ルーカスと吸血鬼(光莉)
- 人間のペット飼いたい(白井もも吉)
- タクヤの忘れ物(田中ちゃん)
- 恋するピンポンダッシュ(椿ケン)
- モラトリアムをあげる(直山なお)
- Hic(偉智川いと/フジ田マル夫)
- 月の光に照らされて(ラライヤ佐藤)
- 遠い日の陽(横谷加奈子)
- ともだちになった魚(どのみち孤独)
- エイリアン☆ディスコ(本尾野聡介)
- 角刈りの兄鬼(インカ帝国)
- ドキドキヌプヌプメモリアルはさよなら(深津ザオウ)
- 虹色のこいびと(岬かいり)
- とこいわのかみ(フィビ鳥)
- 鹿野くんって美味しそうだね(莎々野うた)
- あの部屋の幽霊さんへ(三崎しずか)
- 断ち切れ!オリベーダイス(松田タクミ)
- マカとルリ(丸梅千代子)
- ギャラクシーハイウェイ(岡田大)
- 干からびたミミズ(河野大樹)
- 下校オニ(せがわひろわき)
リスト
コーポ仲吉の管理人(富士太郎)
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要素の組み合わせ方とテンションがおもしろい。
窓の向こうに。(米麹ぽっぽ)
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朴訥な感じの絵柄と距離感のあるコミュニケーションがいい。
さよならプロロ(佐々木カイキ)
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プロロかわいい。絵柄がひとつに定まってないのがテーマとあっている気がする。
ルーカスと吸血鬼(光莉)
人間のペット飼いたい(白井もも吉)
タクヤの忘れ物(田中ちゃん)
恋するピンポンダッシュ(椿ケン)
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捻じくれた欲望のスピード感とふにゃふにゃした描線のマッチ具合がいい。
モラトリアムをあげる(直山なお)
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絵柄もかわいいけど夜のシーンの白と黒のバランスがおしゃれ。
Hic(偉智川いと/フジ田マル夫)
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しゃっくりが止まらないというシンプルなスタートからの迂回具合がおもしろい。
月の光に照らされて(ラライヤ佐藤)
遠い日の陽(横谷加奈子)
ともだちになった魚(どのみち孤独)
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主人公のキャラが最高
エイリアン☆ディスコ(本尾野聡介)
角刈りの兄鬼(インカ帝国)
ドキドキヌプヌプメモリアルはさよなら(深津ザオウ)
虹色のこいびと(岬かいり)
とこいわのかみ(フィビ鳥)
鹿野くんって美味しそうだね(莎々野うた)
あの部屋の幽霊さんへ(三崎しずか)
断ち切れ!オリベーダイス(松田タクミ)
マカとルリ(丸梅千代子)
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ほんのりオカルト日常系かと思いきやどんどん話が遠くに転んでいくのが良い。
ギャラクシーハイウェイ(岡田大)
干からびたミミズ(河野大樹)
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犬が出てくる夢のシーンがいい。
下校オニ(せがわひろわき)
2023年に見た映画
何回書いても体裁の定まらない記事。
2023年は208回映画館で映画を見た。新作旧作混じっているのと複数回見たものがあるので、新作は多分195本くらい。
- ベスト
- その他おもしろかったもの
- Passages(アイラ・サックス)
- ハント(イ・ジョンジェ)
- BAD LANDS バッド・ランズ(原田眞人)
- ファースト・カウ(ケリー・ライカート)
- フェイブルマンズ(スティーブン・スピルバーグ)
- 夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく(酒井麻衣)
- 異人たち(アンドリュー・ヘイ)
- 怪物の木こり(三池崇史)
- TALK TO ME トーク・トゥ・ミー(フェリッポウ兄弟)
- バーナデット ママは行方不明(リチャード・リンクレイター)
- ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE(クリストファー・マッカリー)
- 雪山の絆(J・A・バヨナ)
- オペレーション・フォーチュン:ルセ・ド・ゲール(ガイ・リッチー)
- ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(ジェフ・ロウ)
- フリークスアウト(ガブリエーレ・マイネッティ)
- ジョン・ウィック コンセクエンス(チャド・スタエルスキ)
- イノセンツ(エスキル・フォクト)
- マエストロ その音楽と愛と(ブラッドリー・クーパー)
- 法廷遊戯(深川栄洋)
- FALL フォール(スコット・マン)
- 映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ(作田ハズム)
- まとめ
ベスト
レッド・ロケット(ショーン・ベイカー)
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元ポルノ男優がLAから地元のテキサスに都落ちして嫁の実家に転がり込み再起を図るという話。主人公は全財産22ドルなので車があるわけもなく、テキサスのだだっ広い道をひたすら徒歩や自転車で移動していて、その情景からひしひしと伝わる(責任感も含めて)何も持っていない感がとてもいい。
仕事が見つからないので結局大麻の売人になるとか、近所のドーナツ屋のかわいい未成年の女の子をナンパした挙げ句ポルノ業界に返り咲くのに利用しようとするとか、映画の中で起きている出来事はだいたい最低だし、舞台となっている街も色々行き詰まっているように見えるのに、作品全体に妙な陽気さがある。しかしその一方で、作中の随所でテレビから流れる2016年の大統領選のニュースは終わりつつある何かを暗示するようにほのかな影を落としている。
そういったアンビバレントで繊細なバランスと、チャーミングなフレッシュさに溢れた映画。
哀れなるものたち(ヨルゴス・ランティモス)
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東京国際映画祭で見た。
ヨルゴス・ランティモスの映画は毎回おもしろいなと思いつつ、そのシニカルさが好きになれないことが多かった。『哀れなるものたち』もシニカルさはあるのだが、ベラ・バクスターというキャラクターが知的好奇心によってぐいぐい進んでいくので、人間という生命が持つ前向きなエナジーが(その暴力的な一面も含めて)肯定されていたのがとても良かった。
へんてこりんな世界観を成立させている衣装や美術、ジャースキン・フェンドリックスの劇伴の素晴らしさは言わずもがな、エマ・ストーンのベラ・バクスターっぷりも、珍しく二枚目役のマーク・ラファロの調子外れっぷりも、ラミー・ユセフの純真なかわいさもとても良かった。
もうすぐ劇場公開が始まるのでまた見れるのがとても楽しみ。
ノック 終末の訪問者(M・ナイト・シャマラン)
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シャマランにはいつまでも私にとっての未解決事件であって欲しい。
シャマランのけじめと祈り『ノック 終末の訪問者』感想(ネタバレあり) - 紙の類
アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(ジェームズ・グレイ)
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シュガーヒル・ギャングとディスコとザ・クラッシュが流れる80年のクイーンズに住むユダヤ系中流家庭の小学生(ジェームズ・グレイがモデル)が主人公。
映画監督の自伝的な作品はなんというかこう気恥ずかしさがあってあまり見るのが得意ではなく、この作品もアンソニー・ホプキンス演じる祖父はかなりイディアルな人道主義者として描かれているのに対して、ジェレミー・ストロング演じる父親の振る舞いの解像度とかなんとも言えない感じはあった。
しかし、主人公の行動があまり見たことがないバランスなのが良かった。一応善悪の区別はついていそうな雰囲気はあるものの、純粋なわがままだったり友達のためだったりという素朴な願望で課外授業をフケたり窃盗を試みたりとスッと悪いことをしてしてしまう。その結果浮き上がる理不尽な社会構造の割り切れなさを絶妙なバランスで描いていた。あと唐突に現れるトランプ一家の迫力がすごい。
イニシェリン島の精霊(マーティン・マクドナー)
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きっかけは中年男性同士のつまらない諍いなのに優しさが少しずつ損なわれていく様子を丁寧丁寧に描いていてめちゃくちゃおもしろい。島から出ない者、出れない者、出なければならない者の違いが残酷。
あとセリフがとにかく音として心地良い。
ザ・フラッシュ(アンディ・ムスキエティ)
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どこまで意図的なのかは分からないが、DCEUの終焉を深く印象づけてしまったこの映画が喪失を受け入れる話だったのは、DCEUやベン・アフレックが演じるバットマンに対してそれなりの思い入れがあった自分にとってはとてもありがたかった。
インターネットではだいぶおもちゃにされていたCGIの使い方も、人類最速というその速さゆえに周りが全て遅く感じるだけでなく自分とすら上手く折り合いがつけられないバリー・アレンの感覚の表現として、すべてが上手くいっているわけでは無いにせよとても良かったと思う。CGIは物理学的に精巧なシミュレーションである必要はないのだから。
大いなる自由(セバスティアン・マイゼ)
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かつてドイツに存在していた男性同性愛を禁じる法律によって繰り返し投獄されていた男の話。
とにかくラストシーンがめちゃくちゃいい。フランツ・ロゴフスキはこの作品に加えて『フリークスアウト』『Passages』とどの作品の演技もすばらしかった。
Pearl パール(タイ・ウェスト)
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パールを演じるミア・ゴスのふわふわとした発声がすごい。
パールの夢が叶うことはないとわかっているのに、スポットライト、映画館のスクリーン、映写技師の青い瞳、パールの白い歯、輝くものは牧場の外への道筋を照らしているように見えるので、「もしかしたら」の可能性が頭をよぎってしまう。悲しさとおかしさの同居具合がとても良かった。
カード・カウンター(ポール・シュレイダー)
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映画の冒頭でモーテルにチェックインするときに「would you like some coffee?」と訊かれた主人公が「how old?」と返すことで「おっこの人物はややこしそうだぞ」と思わせる。その上でこちらの想像を超える主人公の行動で頭を殴ってくる感じにベテランの技を感じた。回想シーンの魚眼レンズを使ったVRぽい撮影もかっこいい。
また全体的に体温の低さを感じる演出・演技の中でティファニー・ハディッシュのクールだけど少しウェットさもある演技が良かった。
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(ダニエルズ)
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ダニエルズは前作の『スイス・アーミー・マン』にしろ、バカバカしさを貫き通して感動にまで繋げているのが本当にすごいしずるい。ロサンゼルスの映画館でアジア系の一家に囲まれて観たという思い出も込み。
その他おもしろかったもの
Passages(アイラ・サックス)
TIFFで観た。まだ日本公開決まってないっぽい。
フランツ・ロゴフスキ、ベン・ウィショー、アデル・エグザルコプロスの三角関係から繰り広げられる視線のやり取りや顔の見えない会話がとても良かった。
ハント(イ・ジョンジェ)
中盤まで何かが常に動いているというか、すごい速度で走っている乗り物に振り落とされないようしがみついているような謎のテンションの高さがある。後半はやや失速するというか、その乗り物が自らの速度に耐えきれずどんどんバラバラになっていくけどそれでも走り続けているような恐ろしさがある。例え話がすぎる。初監督ということでどこまで意図しているのか分からないが、あのギリギリ破綻しているようなバランスをこれからも見たい。
BAD LANDS バッド・ランズ(原田眞人)
原田眞人の映画がおもしろいのは自分の倫理観と照らし合わせて結構困るし、原田眞人の映画のおもしろさというかリズム感は原田眞人の映画でしか味わえないので更に困る。
サリngROCK演じる林田のキーボードの叩き方がぺちぺちしててよかった。
フェイブルマンズ(スティーブン・スピルバーグ)
プロムのシーンが素晴らしいのはもちろんとして、芸術のために食事が犠牲になっていた光景を見させられると『レディ・プレイヤー1』の「現実で美味しいごはんを食べるのが一番幸せ」のセリフについて改めて考えてしまう。
夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく(酒井麻衣)
ありがちなストーリーと、白岩瑠姫の演技の下手さによって逆にこの映画の良さが際立っている。ロケ地の選び方、プロダクションデザイン、構図の取り方などから絶対に平凡な画面にしないという気合が感じられる。教室の中でAirdropで画像を送り合ってこっそり会話するシーンは青春映画における大発明。
異人たち(アンドリュー・ヘイ)
これもTIFFで観た。
正直一回観ただけでは見落としているニュアンスが山程ありそうなので、公開されたらまた観たい。観た後とにかくずっと余韻に圧倒されていたことだけは覚えている。
怪物の木こり(三池崇史)
かつて子どもたちに人体実験をして頭にチップを埋め込み人為的にサイコパスを作り出した人たちがいました、実は主人公はその被害者の一人でサイコパスな弁護士としてブイブイ言わせていましたが、ある日チップに強い衝撃が加わったことでサイコパスではいられなくなりました、とかなりバカバカしい設定ではある。しかし、自身や社会の変化によってそれまでできていた超人的だったり非人道的な振る舞いができなくなってしまい自分の足元が崩れたような感覚になるというのは、現在いろんなところで起こっている切実な問題だと思う。
三池崇史特有のくどさはかなり抑えめではあるが、画面や演出はしっかり格好いいし、亀梨和也の顔がちょっと疲れているのとか、刑事役の菜々緒の髪の毛がボサボサしているのとかディティールも丁寧でよい。こういうバランスの映画をもっと観たい。
TALK TO ME トーク・トゥ・ミー(フェリッポウ兄弟)
若者たちがドラッグの代わりに降霊でトリップしまくるという設定の時点でもうおもしろそうだし、そしてその期待にきっちり応えてくれる。最初は思いっきり異物として写されていた幽霊が、徐々に現実に混ざり合っていく質感の変化がいい。
主人公の友人の親が厳しくて婚前交渉とかホームパーティー絶対許しませんという厳しさの上で、話の展開も結構保守的なのは気になった。
あと出てくる犬がすごいむちむち*1。
バーナデット ママは行方不明(リチャード・リンクレイター)
プロット自体はなんてこと無い話だったりするのだが、とにかくディテールのユニークさと説得力がいい。
主人公が限界に近づいたタイミングで発せられる「ベッドの上に置いてあるタオルで折った動物が耐えられない」というセリフの強さ。
ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE(クリストファー・マッカリー)
なんなんでしょうね、この映画。どこまでやったら映画が/M:iというフランチャイズが/トム・クルーズというスターが壊れるのかという耐久テストというか、その境界線の反復横跳びをしているように思える。
アクションシーンを先に設定する投機的なプロセスにより極めて抽象的になったストーリーやセリフのやりとり。メインディッシュのアクションシーンは全部のせの2乗みたいな過剰さ。作中ではイーサンがいやいや飛んでいる崖から喜々として何回も飛び降りるトム・クルーズの姿を映画の公開前に飽きるほど見ているという反転。
劇映画としての欠点は多数あるとしても、この映画の作られた過程が結果的にテーマと合致しているし、風圧でプルプル震えるトム・クルーズの頬が全てに答えを出してしまっている。
雪山の絆(J・A・バヨナ)
1972年に起きたウルグアイ空軍機571便遭難事故を題材とした映画。登場人物の紹介も早々に飛行機が雪山に突っ込むので、その後の地獄のような日々の長さが際立つ。あと、墜落シーンの「ものすごい勢いで人体が押しつぶされてる様子」の映像表現がキレキレ。
真冬の雪山で、食料もなく、捜索も来るかわからないという絶望的な状況なのに、皆で詩を発表しあったり、写真を撮ったり、ようやく救援が来るとなったときに工夫をして身だしなみを整えたりとか、そういう人としての尊厳を守るための知性の輝きの尊さを感じるシーンがとてもよかった。
オペレーション・フォーチュン:ルセ・ド・ゲール(ガイ・リッチー)
胡散臭い役のヒュー・グラントは何回観てもとても良いのはもちろんだが、ハリウッドスター役のジョシュ・ハートネットの絶妙な小物感がとても良い*2。
全体的な印象は軽妙ないつものガイ・リッチーという感じではあるが、ハッタリや嘘の扱いにガイ・リッチーのエンタメ映画に対する美学みたいなものが見えてじんわり感動した。
ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(ジェフ・ロウ)
こういうテーマの映画で悪役にICE CUBEをキャスティングできるのはアメリカのエンタメの強みだと思う。ゴロツキの名前がバッドバーニーとか、スーパーフライの登場時にWake up in the skyが流れるとか3秒で考えたみたいなジョークがいい。
コミック調でコマ落とししたような3DCGアニメがここ最近増えている気がするけど、この映画の仕上がりが一番好み。
フリークスアウト(ガブリエーレ・マイネッティ)
フランツ・ロゴフスキ演じる悪役が未来視ができる設定で、自分で作曲した体でピアノでガンズ・アンド・ローゼズを弾いたりしてるのがユニークで良かった*3。
ジョン・ウィック コンセクエンス(チャド・スタエルスキ)
これもある意味でデッドレコニング的な耐久テスト感ある映画だが、子供が人形で遊ぶみたいにもっとストレートにジョン・ウィックを壊しに行っている気がする。
イノセンツ(エスキル・フォクト)
子役の顔と演技が良いんだけど、主人公の子の真顔のふてぶてしさと笑顔のかわいさの絶妙さが特に良かった。視覚効果のエフェクトなしで描かれるサイキックバトルも格好いい。
マエストロ その音楽と愛と(ブラッドリー・クーパー)
この映画はミュージカル映画ではないけど、すべての映画のミュージカルシーンはこの映画のOn the townのシーンくらいのリズム感を持っていて欲しいと思った。
法廷遊戯(深川栄洋)
原作では教室だった無辜ゲームの開催場所が大谷資料館になっていたり、ヒロイン・美鈴の住居が治安の悪そうな雑居ビルになっていたり、ロケーションとその撮り方が紀里谷和明と岩井俊二を足して2で割った感じだった。主人公・清義と美鈴の関係が現代社会の基盤のひとつである司法制度を滅茶苦茶にするという話と言えなくもないので、セカイ系ぽいアプローチをするのはアレンジとしておもしろいなと思う。
FALL フォール(スコット・マン)
こういうワンシュチュエーションのサバイバルものって限られたアイテムをどう使うかがキモだけれど、「使えるものはなんでも使う」の度合いが飛び抜けてて良かった。続編やるらしいけどどういう展開になるのか一切予想がつかない。
映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ(作田ハズム)
壊れた・必要とされなくなった工場の悲哀という点でまさか『アリスとテレスのまぼろし工場』や『すずめの戸締まり』とつながるとは思わなかった。
まとめ
コロナ禍で公開が遅れていたり、コロナ禍以降の企画が公開されたりといった影響のせいか、振り返ってみると2023年はおもしろい新作映画が多かった気がする。
しかしながら自分の映画を見るにあたっての基礎的な知識や視点の乏しさを改めて思い知ったり、『ヘル・レイザー』『雨に濡れた舗道』『アル中女の肖像』等の旧作映画のおもしろさにぶん殴られたりしたので、2024年は新作の見る本数を減らして過去の名作をきちんと見たり本を読んだりに時間を充てたいなと思った。
*1:そしてあらゆる登場人物に「臭い」と言われまくっている。こんなに臭いって言われる飼い犬映画で初めて見た
*2:ジョシュ・ハートネットはオッペンハイマーでも魅力的な演技をしていたし、シャマランの新作にも出るらしいのでとても楽しみ
*3:改めて考えると自分はこういうアホみたいな一発ネタをきっちりやりきっているのに弱すぎるかもしれない
今年買ったもの(2023年)
良かったもの
アイリスオーヤマ 静音シュレッダー

重篤な怠惰さを抱えて生きている結果、住所書いてある伝票とか書類とかを捨てるために細かくちぎるのがめんどくさくて郵便物等を溜めてしまうことがよくあったので買いました。めちゃくちゃ細かく裁断されるのでとても楽しい。前よりは郵便物等を溜めなくなりました。
Cyber-shot RX100V

ここ数年写真はiPhoneで事足りていたので手持ちのカメラも処分してたんですが、ゴースト出たりとかカリッとし過ぎとかでうーんとなることがあったので、アメリカ旅行に行くタイミングで買いました。旅行のときに持っていくくらいで正直そこまで使い倒しているわけではないのですが、下の画像みたいなiPhoneでは出せない階調表現とかがあるので買ってよかったです。
こういう階調の写真撮れるとコンデジ買ってよかったってなる pic.twitter.com/2x4oFCefjL
— 明日はわが身🍝 (@051uJhyvk) 2023年8月28日
サングラス

自分の目が日光に弱いがちな気はしていたので以前からサングラス買わないとなーと思ってはいたのですが、試着するたびにその似合わなさにげんなりして購入しないまま今年になりました。しかし今年の夏暑すぎたし日光による疲れで体調崩すのいい加減アホらしいなとなったので似合わなさのげんなりを乗り越えて購入しました。かけて外出るとまじでめちゃくちゃ楽なのですごいです。
画像は一番最初に買った物なんですが、その後髪型を変えたらフォークソング歌手みたいな見た目になってしまったので、調光レンズのもっと眼鏡ぽいやつと、フェス用の軽いやつを買いました。来年以降はこれ以上買いすぎないようにしたいです。
SUQQU メルティングパウダーブラッシュ 10

去年くらいまでは基本オレンジかコーラル系のチークを使ってたんですが、加齢のせいかなんか顔が黄ばんで見えるようになってしまったので違う系統のを買いました。
ふわっと馴染む感じがするし、ケース自体も薄くて軽いから旅行の時とか持ち運びやすいです。買ってすぐ廃盤になってしまったので、大事に使おうと思います。
冷凍馬刺し
今年パーソナルジムに通っていて低脂質・高タンパクな食事を課せられていたのですが、サラダチキンと違って食べても悲しい気持ちにならないのでいいです。
微妙だったもの
革靴
数年前からローファーとショートブーツが欲しくて今年ついにpellicoのローファーとALM.のショートブーツを買ったんですが履いて出かけると足がズタボロになるのでだめだなとなりました。ちゃんと試着してるんですけどね。扁平足の悲しさ。その内ちゃんと足に合うやつをオーダーしたい。
LEDフロアライト
楽天とかで7000円位で売ってる細長いやつです。PCデスクの近くに間接照明ぽいのが欲しくて買いました。もっとちゃんと見て買えばよかったんですけどリモコンが赤外線じゃないのでスマートリモコン使えなくてON/OFFがめんどくさくてあまり使ってないです。安くてもちゃんと見て買おう。
VAPE
仕事中にガム噛むと噛みすぎてしまうので、その代わりになるかなと思って買いました。最初s toneという使い捨てのを買ったんですがカフェインが入っているせいか舌がビリビリするので、DR.VAPEを買いました。ガムの代わりにはならないなというのが今のところの結論です。
『ホーンテッドマンション』感想
なぜか真夏に公開されたハロウィーン映画。多分そろそろDisney+で配信されるはず。
自分はフィクションの中の「(任意の二人称単数)is the one」描写、平たく言うと運命の人に出会った瞬間の描写が好きなんだけど、ホーンテッド・マンションのそれはとても良かった。本作では冒頭にそのシーンがあるので、そこで心を掴まれてしまった感がある。
年越し直前のバーで主人公のベンは後の妻となるアリッサに話しかける。ベンは量子レンズを研究する優秀な物理学者で、アリッサは幽霊屋敷のツアーガイド。フィクションでお馴染みのナード描写として自分の仕事の内容を専門用語増し増しの早口で説明するベンに対して「目に見えないものを見せることをしてるのね、私も同じような仕事」と言うアリッサ。アリッサの聡明さと優しさが一発で表現されているだけでなく、このセリフにある半ば無理筋でも共通点を見つけて他者に歩み寄ろうとするのがこの映画に通底する姿勢のように思った。
霊界や霊的な存在をよく「あちら側」と言ったりするが、「あちら側」「こちら側」と区分することをこの映画は否定する。それを象徴するのが、主人公が使う霊写カメラの存在だろう*1。
前述の冒頭のシーンから時間が飛んだ現在、ベンはアリッサを失い、研究者の職は妻の存在を捉えようとして開発した霊写カメラが原因で失職、行きつけのカフェの店員に「垢じみたにおい (smell like yesterday)」と言われるような生活をしている。そんなところにとても胡散臭い神父のケントが現れ、幽霊屋敷の調査をベンに依頼する。
破格の報酬に釣られて幽霊屋敷の調査に赴くベン。このタイミングではカメラのバッテリーがないのも無視しておざなりに調査をしているため、もちろんその姿を捉えることはできない。しかし、幽霊に取り憑かれたことがわかったベンは屋敷へと戻り、カメラを使って存在しないとされているものを見えるようにすることで、主人公たちは亡霊たちの正体に近づいていくのだ。
正直、映像面・演出面においてはうまいとは言えず、アトラクションを再現したであろうビジュアルやエフェクトもチープさのほうが目につくし、悪役がドナルド・トランプなのは意図はわかるが少し安易に感じてしまう。
しかしながら、ベン(ラキース・スタンフィールド)、ケント神父(オーウェン・ウィルソン)、屋敷の持ち主のギャビー(ロザリオ・ドーソン)、yelpの評価が高い霊媒師(ティファニー・ハディッシュ)、幽霊屋敷を研究している大学教授(ダニー・デヴィート)が一同に会した時の絵面のよさや、ジョークの温度感のちょうど良さなど、否定しきれない魅力があると思った。
*1:このカメラのエフェクトが全体的にゲームの『零』ぽくてちょっと笑った
Oppenheimer見たメモ
そもそもセリフに専門用語が多い上に、マット・デイモン以外の出演者は皆もごもご喋るし衣擦れの音は被りまくりだしで2割もセリフは理解できていない*1のであくまでも現時点での覚え書き。
8月下旬、台北の美麗新影城で鑑賞。
映画を通してオッペンハイマーは相対するものたちの板挟みになっている。共産主義と反共、昔の恋人と妻、科学的探究心と倫理、戦争の英雄としての名誉と後悔などなど。
その板挟みによりオッペンハイマーの心はずたぼろになり、ついにはスパイの疑いをかけられる。しかしそんな彼を守り最終的に名誉を保つのは、科学と国という大きな存在への忠誠心(Loyalty)によってである。
一般的に言われているように、クリストファー・ノーランは映画についての映画を撮る監督である。そこで映像的・物語的ハッタリが少ない本作では一体何がそれにあたるのであろうか。
本作の映像的なハイライトのひとつはまず間違いなくトリニティ実験のシーンであろう。核実験の爆裂な光と音を並んで見る関係者たちは観客のようである。また、待機小屋の小窓からその様子を見るオッペンハイマーの姿は映写機技師、またはモニターで仕上がりをチェックする映画監督のようでもある。その光と音は観客に大きな興奮をもたらすが、その興奮も束の間、原爆が実際に投下された後のオッペンハイマーはその光がもたらす壊滅的な影響のビジョンに苛まれることになる。更には共産主義に傾倒していた過去からスパイの嫌疑をかけられ、機密にアクセスするという特権を失ってしまう。
理想を追い求める心から生み出されたものが誰かを傷つけたり、さらには政治の道具になってしまうこと。ここから、近年映像作品が政治的闘争や論争の的になりがちなことや、エンターテイメント業界をとり巻くキャンセルカルチャーを想起するのは安易すぎるかもしれない。
しかしもしそのような意図があるのであるならば、この映画がその題材であったりBarbenheimerのミームに巻き込まれたことで日本において論争の的となり、更には現時点において国内で正規に見れる目処が立っていないというのはとても皮肉なことだと思う。

*1:この直後にBlue beetleを見たらセリフ大体聞き取れたので子供向け映画は最高!となった
松葉杖生活の記録
GWの真っ只中にすっ転んで足首を怪我した結果、1ヶ月ほどギプス固定と松葉杖で生活していました。
初めて松葉杖で生活してわかったことや思ったことがあったので記録として書き残します。
転んだ原因
わざわざ立川までシャマランの『ノック 終末の訪問者』を見に行ったところ映画館のスクリーン内の段差に気づかず転倒。映画はちゃんと見た。
前提
松葉杖生活と言っても怪我した方の足を地面につけられる状態だったので、松葉杖をついていたのは基本屋外になります。
日常生活
家事
前述の通り両足をつけられる状態だったので、そんなに不便はなかったです。
ただ、入浴に関しては当初ゴミ袋+テープぐるぐる巻きで対処していましたが、普通にめんどくさいのとゴミ袋が無駄なので後で市販のギプスカバーを買いました。もっと早く買えばよかったと思います。
あと、GW中にどうしても部屋の模様替えをしたくて無理やり家具運んだりしましたが、後で足痛くなったのでやめておいたほうが良かったです。
移動
電車移動は周りの人がせかせかしてる中で邪魔になってないかを気にしてしまったり、階段の上り下りが多いのがだるかったりで基本的にタクシー移動をしてました。
階段の上り下りとか普段は何も考えてなかったので結構参りました。
あと舗装された道路でも結構地面に杖が引っかかることが多くて、地面って案外でこぼこしてるんだなと思いました。
服装
松葉杖で脇がこすれる&ギプスの端が布(特にサテンとかナイロンとか糸の細くて柔らかいやつ)に引っかかるので、傷んでもいい服か生地が強い服しか着る気になりませんでした。
ストレス
ギプス着けたあとの1週間とギプス外れると思ったら再装着された直後は、身体が思うように動かせなかったり、街中で悪目立ちしているような気がしたりで結構ストレス溜まって情緒不安定でしたね。かといって出かけるのもできないし、買い物もできないし、暴食しようとしても動かないからお腹空かないしでストレス解消がうまくできませんでした。
遊び
映画
出かけるのはめんどうだが見たい映画は公開されるので何回か映画館に行きました。普段は休みの日は4本位はしごしたりしてたんですが、映画館から映画館の間の絶妙な距離の移動がしんどかったので逆にタクシー移動が正当化できる距離の映画館ではしごしたりしました。というのもあって一日に見れる本数が2本とかになりました。
そしてよく行く新宿のシネコンはスクリーンが複数のフロアに分かれているところが多いのですが、エレベーターで移動できるところはありがたいなと思いました。バルト9はエスカレーターしかないのと、踊り場で結構迂回させられるので疲れました*1。
あと、コンセッションでカップの飲み物買うと松葉杖使えなくなるので、ボトルの飲み物売ってる映画館はありがたかったです。
そういう観点でいうと、新宿の映画館で足を怪我したときにおすすめなのは新宿ピカデリー*2です。
ライブ
怪我した翌日と翌々日のライブのチケットを前から購入しておりまして、さすがに翌日のはギプス装着したてだったのと長丁場のイベントだったので行くのを諦めたんですが、翌々日のライブはどうしても見たいし、ワンマンだから時間も短めだろうということで無理やり参加。しかしながら会場のWWWXは一度行ったことがある方ならおわかりかと思うんですが、4階まで階段で登った後2階分の階段を下るというスーパーバリア仕様な入場経路となっています。気合でなんとか登って降りてしたんですが、別経路がないかスタッフの方に聞いてみればよかったですね。
ライブ自体は一番うしろの壁ぎわスペースを確保できたので寄っかかりながら見ましたが、めちゃくちゃ楽しかったので行ってよかったなと思います。
旅行
また運が悪いことに5月末の週末に2週続けて福岡と大阪に行く予定*3がありました。
福岡に関しては好きな土地だし久しぶりということもあって2泊3日の旅程を怪我前に組んでいてとても楽しみにしていたのですが、ほとんど歩き回れなかったのと気後れして飲食店にもあまり入れなかったので、近いうちにまた行きたいです。移動手段としてはJALの飛行機を使ったのですが、搭乗口がめちゃくちゃ近くてフルキャリア様々だな〜と思いました。
大阪に関しては当日の移動に自身がなかったので新幹線で前のりをしました。新幹線に乗る駅までの移動が乗換案内どおりにできる自信がなかったのと色々が面倒くさくなって自由席にしてしまったのですが、全然席空いてなくて松葉杖でうろうろすることになったのでちゃんと指定席買ったほうがいいです。
それと、福岡と大阪で合わせて3つのホテルに泊まったのですが、その内2つで廊下の一番端の部屋を割り当てられて移動が大変だったので、エレベーターホールに近い部屋にできないか事前に連絡しておけばよかったと思いました。
結論
転ぶと意外と簡単に骨折するし、骨折すると大変なので足元には気をつけて歩きましょう。あと、骨折したまま映画の撮影を続けたトム・クルーズは本当にすごい。
