2022年1月 まとめ

1月に見ておもしろかったものや印象に残ったことを書く。
 

悪役令嬢もの

人気あるジャンルのはずなのに全く触れてないぞと思ってざっと読んでみた。その中でおもしろかったやつ。

悪役令嬢レベル99 ~私は裏ボスですが魔王ではありません~

乙女ゲーの裏ボスである悪役令嬢に転生した主人公がうっかり領地でモンスターを狩りすぎた結果レベル99になってしまい、魔王討伐パーティーのメンバーになる予定の攻略対象たちにドン引きされ敵視され波乱万丈の学園生活を送ることに…という話。強すぎる力を持つものの孤独が描かれていてよかった。
 
ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん

乙女ゲーをプレイしている小林さんと遠藤くんの声がなぜかゲームの登場人物に聞こえるようになり、悪役令嬢のリーゼロッテ推しである小林さんはリーゼロッテの破滅を回避するために遠藤くんと実況解説として登場人物を誘導していくという話。タイトルも設定も複雑怪奇だけど話にスッと入っていけるようになっていて読みやすかったし、ゲームを取り巻くメタ的な環境だったり、フィクションの登場人物に対する人権意識みたいなのが今っぽくてよかった。これから現実世界とどんどん話が絡んでいくっぽいのでどうなるのか楽しみ。
 
悪役令嬢、94回目の転生はヒロインらしい。 ~キャラギルドの派遣スタッフは転生がお仕事です!~

いろんな物語に悪役令嬢を派遣するギルドがあってポイントを貯めるとシナリオに縛られず動ける正式キャラクター要因に昇格できるっていう世界で、破滅を避ける悪役令嬢は全部正式キャラクターという言及があり「さすがにメタが回りすぎなのでは!?」ってなった。従来のいわゆる乙女ゲーヒロイン的振る舞いが「図々しく」「受動的」とかなり否定的に書かれてて、悪役令嬢という存在はそのアンチテーゼであるということが強調されてるし、だいぶメタ度は高い。
ただ、そのギルドから派遣されて作られている「物語」が誰のための何なのかに関する説明が一切ないのが割と怖いし、コミカライズを読む限りだいぶエピソードぶつ切り感がある。
 

読み切りまんが

第85回ちばてつや賞 - 【読み切り】化け猫200歳 | ヤンマガWeb
野良さんが出てきた瞬間にかわいいのがすごくいい。あとザラッとした線がおしゃれ。
 
第85回ちばてつや賞 - 【読み切り】紙袋とマジック | ヤンマガWeb
第85回ちばてつや賞 - 【読み切り】叶芽の敗走 | ヤンマガWeb
同じちばてつや賞で顔を描かれるというのが正反対の意味を持つ作品が入賞してておもしろいなーと思った。
 
注文の叶う料理店 / 注文の叶う料理店 - 藤田三司 | サンデーうぇぶり
猫かわいい。
 
そんな恋。 / そんな恋。 - 森下みゆ | サンデーうぇぶり
近い人間に対する「推し」的な感情を取り扱う作品って最近多いけど、主人公の視線はジトッとしてるんだけど嫌悪感を覚えない絵のかわいさとか、最後まで距離感変わらない感じがよかった。
 
かけ足が波に乗りたるかもしれぬ - 菅野カラン / 【コミックDAYS読み切り】かけ足が波に乗りたるかもしれぬ | コミックDAYS
この人の短編ももっと読みたいし長編も読んでみたい。
 

ドラマ

tv.apple.com
クリストファー・ミラーフィル・ロードによる羅生門スタイルコメディ。殺人事件の関係者の証言を順に追っていくんだけど、証言の映像が人によってジャンルがミュージカルになったりラブコメになったりアクションになっててその主観の不確かさがより強調されてる。まだエピソード3までしか配信されてないけど、回を追うごとにおもしろくなっているので楽しみ。
 

映画

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム
www.spiderman-movie.jp
現在性の映画への取り込み方という観点においては『ファー・フロム・ホーム』のほうが好きだけど、20年分の重みで殴ってくるのはずるい。ホームカミングもファー・フロム・ホームもラストバトルがスパイダーマンにとって戦いにくそうな場所だったのがついに十全にアクションできる舞台が与えられてるのとか、映画3本の構成までもがきれい。
 
ライダーズ・オブ・ジャスティ
klockworx-v.com
よくある復讐ものなのかと思いきやもっと運命論的な感じで、問題を抱えた中年男性が因果と確率に振り回される話だった。問題を抱えた中年男性の話が好きすぎるので、1月はこれ以外にも『ブラックボックス 音声分析捜査』とか『スティルウォーター』とか病んだ男性の話が多くてよかった。
 
フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
searchlightpictures.jp
ここ何作かのウェス・アンダーソン作品は正直自家中毒感があって見るのがしんどかったけど、フレンチ・ディスパッチに関しては絶妙なダーティーさがあったのと、ばらばらのエピソードで構成されているのが見やすかった。