今年は映画館では新作旧作含めて203回(2回とか7回とか見てる映画もあるので作品数だともっとすくない)、家で見たのは鑑賞の態度としてちゃんと見れていない感覚があったのできちんと記録つけてませんが多分30〜40本くらいだと思います。
TOHOシネマズフリーパスのおかげもあって映画館で見た回数は多分今までで1番多いんですが、今年は本当におもしろい映画が多かったなーという印象があります。特に実写の日本映画が見る作品見る作品おもしろくて、来年からはもっとたくさん見ていきたいなとおもいました。
そんなこんなで今年見た映画の個人的ベスト10
1.ハッピーボイス・キラー
ハッピーボイス・キラー [Blu-ray]
監督:マルジャン・サトラピ
脚本:マイケル・R・ペリー
出演:ライアン・レイノルズ、ジェマ・アータートン、アナ・ケンドリック
セリフだったり挙動だったりで主人公と社会の間のズレを少しずつ明らかにしていく、その手際がすごくうまい。
1番印象的だったのは、そのズレが画面の演出として最大化される場面の、「この要素をこんな風にトリック的な使い方して良いんだ!」という驚きと、そこで改めて突きつけられる主人公の境遇のしんどさ。
あとこの映画はエンドロールがすごく素晴らしくて、表面的には明るくハッピーな雰囲気なんだけれども、ここに凝縮されている主人公の願いはかなわなかったし、なによりその願った世界の狭さが悲しくて、エンドロールでこんなに泣くかというくらい泣いた。
2.ヴィジット
ヴィジット【DVD化お知らせメール】 [Blu-ray]
監督、脚本:M・ナイト・シャマラン
出演:キャスリン・ハーン、ディアナ・デュナガン、ピーター・マクロビー、エド・オクセンボールド、オリビア・デヨング
以前にこのブログでも感想書いたけど、やはり何度見てもあたらしい発見があるし、みずみずしさにあふれた画面、周到に用意される笑いと恐怖、作品全体に貫かれる物語や映画に対するシャマランの信念はサイコーと言うほかない。
「罵る言葉の代わりに女性歌手の名前を言う」は今年の最も偉大な発明だと思う。
エンドロール始まってStandtallの曲が流れる瞬間がすごく好き。
マジック・マイク XXL ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
監督:グレゴリー・ジェイコブズ
脚本:リード・カロリン
出演:チャニング・テイタム、マット・ボマー、ジョー・マンガニエロ、ケヴィン・ナッシュ、アダム・ロドリゲス
相手も自分ももう若いとは言えない年齢だし、社会的に上手くいっているとはいえない状況で余計なことを言って傷ついたり傷つけたりしたくない。そんな関係性の中で交わされる思いやりにあふれた表面的で冗談めかしたやり取りがなんとも言えない気持ちにさせる。
だからこそ、ふとした瞬間に発せられる一言がさりげなくても大きな意味をもつし、パフォーマンスシーンで爆発する感情が心からの開放感をもたらすのだなと思う。
今見ても思わず涙してしまったりしまうのだけれど、この先10年、20年経ったときにまた見え方が変わってくるんだろうと思わせる作品。
5.ブルー・リベンジ
ブルー・リベンジ [Blu-ray]
監督、脚本:ジェレミー・ソルニエ
出演:メイコン・ブレア、デヴィン・ラトレイ
小太りで内気な主人公が起こす復讐が本当に陰鬱でタイトル通りブルーな気持ちになる。
ふつう復讐譚ではその重苦しさを回避するためにアクションの華麗さなどがあるけれど、そういうのも一切なし。主人公が復讐に至ったその大本の事件の真相が明らかになるほどに、そのどうしようもなさにどんどんつらくなる。
ただ素人ならではの下手こいたりなどの緊迫感もきちんとあるし、画面もすごく美しくて、ただの暗い映画にしない、そのバランスがすばらしい。
6.ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲
WHITE GOD
監督、脚本:コルネル・ムンドルッツォ
出演:ジョーフィア・プショッタ、シャーンドル・ジョーテール、ラースロー・ガールフィ、ルーク&ボディ
https://www.instagram.com/p/-qoNg3JBRL/
大体の感想は上のURLに書いてあるけれど、寄る辺のない思春期の少女と愛犬というモチーフの強靭さと、人影の見えないブタペストのまちを疾走する犬たちの姿の強烈さ。
「雑種」が排除されない世の中になることを祈るしかない。
7.Ex Machina
Ex_Machina [Blu-ray]
監督、脚本:アレックス・ガーランド
出演:ドーナル・グリーソン、オスカー・アイザック、アリシア・ヴィキャンデル
AIと人間の境界線とか、アンドロイドのセクシャリティとはとか、興味深い問題提起をたくさんしている作品だとおもうのですが、個人的にはドーナル・グリーソンとオスカー・アイザックの身体性の対比がおもしろかった。
ボクササイズとかしちゃって身体的にドライブできるオスカー・アイザックさんと、ヒョロッヒョロでいかにもギークなドーナル・グリーソンさんのその身体性がことあるごとに対比されていて、作中出てくるアンドロイドの造形とも結びついてるんですよね。
そして、その違いがことさらに強調されるダンスシーンがあるのですが、そのシーンのヤダみというか居心地の悪さが素晴らしかった。
ドーナル・グリーソンさんもオスカー・アイザックさんも『フォースの覚醒』のメインキャストだし、アリシア・ヴィキャンデルさんはこの作品をきっかけに大ブレイクしているのに、日本公開されていないのが本当にもったいない。
9.百円の恋
百円の恋
監督:武正晴
脚本:足立紳
出演:安藤サクラ、新井浩文
ニートで今まで特に何もしてこなかった主人公が試合後のボクサーを見て「お互いの肩をポンポンしているのが良い」と思ってボクシングを始めるのがすごくいいと思う。
安藤サクラさんなしでは成立しなかった映画だとおもうけれど、安藤サクラさんがどんどん引き締まってボクサーになっていく過程の凄みは本当にすごかった。
ナイトクローラー [Blu-ray]
監督、脚本:ダン・ギルロイ
出演:ジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソ、リズ・アーメッド
日本公開が待ちきれず海外版Blu-rayを買ってしまうほどだったのですが、日本公開のときに改めて見て、こんなに自己啓発本のコピペみたいなセリフばかり話していたのか!と驚かされました。
ガリッガリに痩せたジェイク・ギレンホールの全てを見ているようで何を見ているのかわからない瞳の異様さは一度見たら忘れられないですね。
助演のリズ・アーメッドさんはスターウォーズ・ローグワンにも出演予定らしいので非常に楽しみです。
その他にも、おもしろかった映画についてざざっと
『ネイバーズ』
夢のマイホームの隣に社交クラブがやってきたコメディ。セス・ローゲン夫婦が大学生に対して悪ぶって優位に立とうとするくだりが好き。
『フォックスキャッチャー』
アメリカの理想を体現しようとすると気が狂うしかないのだろうか。
チャニング・テイタムのしょぼくれゴリラっぷりがマジック・マイクと同一人物とは思えないすばらしさ。
『テラスハウス・クロージング・ドア』
ゴーン・ガールやバードマンに続くSNS映画。
『インド・オブ・ザ・デッド』
テロップの皮肉がすごい。ロシア訛りの英語を話すインド人がでてきます。
『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』
マッドな世界をこれ以上無く精緻に描いた傑作。何度でも見たい。
人喰い男爵のカフスボタンが乳首モチーフなのとかそういう細かな気配りがすごい。
『はじまりのうた』
二股イヤホンアダプタの使い方オブザイヤーですね。
『フレンチアルプスで起きたこと』
今年のベスト男泣き映画です。洗面所の使い方がいい。
『懲罰大陸★USA』
絶対に行きたくない理不尽パーク。
『アントマン』
ベスト3D効果&おじさんたちかわいい映画。
『ローリング』
普通のひとのしょうもなさ見本市。ロケーションと劇伴もとてもいい。
来年も、年明けからいきなり「未体験ゾーンの映画たち」が始まりますし、今年以上におもしろい映画をたくさん見ていきたいと思います。
あと「週間ランキングで1位をとった映画を全部見る」と言いつつ途中からちゃんとできなかったので、2016年こそは達成したいです。